Scot Hamilton Show

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  • 今日は偉大なゲストをお招きしました。アメリカ男子チャンピオンのネイサン・チェン選手です。ようこそ。

お呼びいただき大変光栄です。

  • ショートプログラムには驚愕し、フリーでは終わりになるにしたがって「歴史的な瞬間を目撃しているのだなあ」と感極まってきたんだよ。全米1週間の期間中、どんな思いで2つのプログラムを滑りきったのか、聞かせて。

ありがとうございます。グランプリファイナルを経てとても意欲が湧いてきました。今現在のトップ選手達に伍して戦い、あのような滑りをできたことは、自分にとってとんでもないことで予想もしていませんでした。ですので、ファイナル後もエネルギーが漲っていました。国際試合に関して言えば、数字の上でも他のアメリカ男子に比較していい位置につけていたので、自分の持てる力を発揮し、クリーンなプログラム2本を揃えれば、全米選手権でもタイトルを取る勝機は十分にあると感じていました。

ショート前には正直緊張していましたが、練習でやったことを信じてその通りにやれば上手くいくだろう、と言い聞かせました。終わった後は本当にホッとしました。特に、シーズン通じてそれまで一度もクリーンではなかった3Aに成功することができ、自分でもよくやったと思いました。フリーについては、もちろん滑りきるのにまだ難しいプログラムですが、自分の望む通りに滑れたら、自分の望む結果は得ることができる、きっとできる、と自信があったので、ショートに比べてリラックスをしていましたし、わくわくしていた状態で、結果もついてきてくれました。

  • 演技構成表をあらかじめ見てたんだけど、あそこはトリプルループのはずですよね。あれ、トリプルループなの(笑)。クワドサルコウにしたのは、あらかじめそうしようと計画をしていたの、それとも、試合で前半を滑ってみて様子を見てみよう、というものだったの。

様子を見てですね。シーズンを通じて、後半にクワドサルコウを入れることはずと練習していました。クワドサルコウは自分のクワドジャンプの中で特に一番に得意とするジャンプではないので後半に入れることは簡単ではありません。クワドがうまくいくか、体力がどれくらい残っているかも日によって違いますが、ただ、そうであったとしても、クワドサルコウをあそこで入れようと決めてました。ファイナルが終わって3週間練習を積んできて安定していたし、精神的にも肉体的にも大丈夫だったし、試合に入れるのはよい考えだと思っていたからです。試合前半までは、完璧には自分の望むような滑りではなかったのですが、入れました。

  • 君は能力、実績という点で、国内の他の選手をおいてきている状況だよね。僕はノービス、ジュニアの時代からずっと君の戦い、成長ぶりを見てきたわけだけれど、普通、幼い時にトップに登ると往々にしてその後苦労する選手が多い。若いうちに成功したことで、そこを最初から到達点として定められたように思ってしまうんだろう。全米優勝の今日に至るまで、君がどのように競争力を維持し続けているのか教えて。

チームに恵まれていました。それと僕が成功を体験したのはとても幼い時だったので、普段やっていることをやっただけで自分に何が起こったのかよく分かってなかったのかもしれません。あれがその後もう少し大きくなってからだったら、実際にジュニアタイトルもとったわけですが、それがピークになってしまっていたかもしれません。でも、あまりにも幼かったがために、もっと進化しなくちゃ、頑張らなくちゃ、と思えたんでしょう。周囲の家族、コーチが激励し続けてくれたのもためになりました。それに加えて、動機づけという点に関していえば、僕は今まで、これでもう十分だと思ったことがなくて、もっともっとと思うタイプです。特にクワドについては、ひとつできれば、別のもできる、もっとできる、とやり続けます。そうしたことが全部合わさって上手くいったんだと思います。

  • 僕の時代には、トリプルフリップはみんながやっていて、僕がルッツを引っ張っていて、ブライアン、ボイタノがトリプルアクセルを取り入れていたんだけど、ボイタノって、それまで見たことのないジャンプを一気にやるんですね。ネイサン、君はある意味それと似ていて、どのジャンプも同じように一気に取り入れ跳んで見せていますね。クワドループはあとどれくらいで入れてきますか、それが聞きたいな。

ループは自分の得意とするジャンプではないので、これまであまり力を入れてはこなかったんですが、もちろん、これからもっと力を入れないといけないジャンプですね。とにかくやって見ないと、始まらないわけで、まだ決めていません。将来は取り入れようと思っていますが、今の段階では、今自分が飛んでいるジャンプを集中して練習しています。素晴らしいコーチについて技術を一から教えもらったことは、本当にラッキーでした。おかげでずっと安定して跳べています。

  • 君に最初にスケートの技術を教えたのは誰?

最初のコーチは、Stephanee Grosscupで、素晴らしい人です。 彼女から1回転、ほとんどの2回転ジャンプ等様々なスケート技術を学び、そのあと、Karl Kobarからダブルアクセルを教えてもらい、ジャンプの基本的な技術を学びました。Karlはヨーロッパ、ロシア系の技術的なことを教えてくれ、彼から習ったことは後々、力強いジャンプを習得するのに役立ちました。そのあと、Denia Cherryshoveの元に行きました。彼女はそれまでに習得したジャンプを定着させるため徹底的に繰り返し練習させました。そのおかげで3−3やトリプルアクセルを跳び始める頃には、どのジャンプにも自信がついていて、ジャンプのことを心配しないで、自然に身体にまかすままに跳べるようになったのです。そのあとラファの元に行き、跳ぶ際に一切の迷いがなくなるほどに鍛えられて、高さ、力強さも出せるようになりました。まだ子供だったので、まだクワドを跳ぶ力はなかったわけですが、一度力がつけば、すぐにクワドが跳べるように育ててもらいました。

  • ラファって他のコーチと違っているでしょう。

ふふふ、ラファはとても個性的な人です。(笑)

 

  • ラファと一緒にいるのってとても楽しくて、大好き。何度も会いに来るようにご招待を受けているんでだ。どういった点で、ラファは他のコーチと違っているの。

ラファがリンクに現れるや否や、皆、その日にやることをやらなくちゃ、と緊張が走り、一生懸命やろうとします。ラファを満足させたいともちろん皆思いますし。僕も全員のコーチを知っているわけではないんですが、彼がリンクにもたらす雰囲気は他のコーチと違うと思います。ラファの存在がみんなからエネルギーを引き出します。

  • ラファを喜ばせたい、それとも、ラファを怒らせたくはない、という感じですか。

もしかしたら後者かも。(笑)

  • ラファって、「空手キッズ」の Miyagiみたいに最初言われても全然理解できないことをやらせるようですね。(笑)

そうです、3ヶ月経って、ああそういうこと、ってわかるんです。ラファの頭の中は、みんなの数歩先を行っているんです。

  • 君とラファは師匠と弟子としてとてもうまくいってるよね。ラファ曰く、ネイサンは汲みつくせぬタンクのようだ、と。今、17歳ということは、ピークは、北京五輪の頃だよね。今度の平昌五輪でも君は健闘するだろうけど、競技者の能力としてぴったりタイミングが嵌るのは、北京五輪の時でしょう。その頃君がどうなっているのか、想像もつかないな。

僕にとって随分先のことになってしまいますが、きっと今よりもっと強くなっているだろうし、ラファと一緒にやっていけば、僕が欲しいと思うものを手に入れることができると思います。

  • 振付師は誰ですか。

最も多く見てもらっているのはマリアズエワです。オフの時期でも、振り付け、エッジクォリティ、自分の見せ方について教えてもらいました。成果は見え始めていますが、まだ課題は山のようにあり、意識的に力を入れてやっている部分です。

  • まさにそう。特にSPを見ていると、ジャンプのことは気にならないくらい、氷の上の存在感、自分を表現することいい、本当に上達しているよね。音楽にもよく注意を払っていますよね。特に17歳ということを考えてみても、君は本当に上手だよ。君のプログラムはみんな好きだよ。あの「ピーターと狼」また演らないの。

ふふふ。僕も気にいってるんです。今演ったらすごいかもですね。

  • 衣装は小さすぎるけどね。

大きくしないといけないですね。

 

  • では、恒例のスピードQAの時間です。すぐに答えてね。

  • 好きなジャンプは?

トゥージャンプ。

  • 好きなスケーターは?

スコットハミルトン(笑)

  • 好きな市は?

ソルトレイクシティ。

  • 訪れるのに好きな国は?

日本。

  • 好きな色は?

ブルー。

  • 好きな動物は?

カワウソ。可愛いし。

  • 好きな食べ物は?

中華料理に慣れていますが、なんでも食べます。カンサスシティならバーベキュー。

  • 好きなスポーツチームは?

うーん、難しいけど、アイスホッケーが好きで、たくさん好きなチームがあるけど、Boston Bruins.

  • これまでのスポーツ選手のうち、好きな選手は?

マイケルフェルプス。

  • 好きな本は?

多分ハリーポッター

  • 好きなスーパーヒーローは?

Aleman。

  • 好きな曜日は?

土曜日。

  • 好きな航空会社。

うーん、多分ルフトハンザ航空。

  • 好きな映画。

うーん、すぐには思いつかない。

  • 社会保障番号。

うーん。(冗談です—ハミルトン)

  • もう一度、これまでで一番好きなフィギュアスケーター。

スコットハミルトン。(笑)

 

  • 以上です。君ほど成長が楽しみなスケーターはいないよ。世界選手権頑張ってね。

–お招きいただきありがとうございました。

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訪れたい国、と聞かれて速攻で「日本」って答えてくれているネイサン。NHK杯のStole the Showを踊っている時、幸せそうな笑顔で、きっと手拍子が嬉しかったんでしょうね。小樽でも楽しんだようですね。

2件のコメント

  1. ※コメント承認はいりません。

    いつも素晴らしい記事をありがとうございます。インタ記事を探していてふと気になったのですが

    S: ラファを喜ばせたい、それとも、ラファを怒らせたいですか。
    N: もしかしたら後者かも。(笑)

    の部分は
    S: Is it you wanna make him happy or you just DON’T wanna make him mad?
    N: Probably the latter.

    と聞こえるのですが、いかがでしょう。

    これから成績、注目度が上がり、競争が激しくなるにつれて選手の一挙手一投足に関して的外れな
    批判も増えそうですが、凡人には想像もつかない精神力で力に変えてくれそうな気がしています。

    1. こんにちは。いつも読んで下さってありがとうございます。体調不良のため、しばしブログの方を離れていました。ご指摘の点、私も最初聞いて??と思った箇所です。もう一度聞き直して修正すると思います。今後ともよろしくお願いします。

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