Lynn Rutherford’s CC Report at IceTalk / CC報告

8月24日のICE Talk で、五輪報道の経験をもつフリージャーナリストのLynn Rutherfordさんが先週行われたChamps Campについて報告してくださいました。五輪代表候補の現状を生き生きと話してくれています。
とても長く内容も盛りだくさんでしたが、聴きながらメモをとって翻訳を載せてます。あくまで要約であることをご了承くださいね。

こちらで聴けます。iTunes:

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今年のCC(チャンプスキャンプ)について、Lynn RutherfordさんがICE Talkで報告。

 

これまでも五輪、ワールド選考については全米だけではなく、国際試合(グランプリシリーズ)など、全体の成績を(body of work)を加味することは伝えらえてきましたが、今回のCCではそのことがオープンに話された。

 

五輪のシーズンでストレスもあるだろうけど、キャンプを通じてポジティブな雰囲気で溢れていた。女子シングルでもっとも強い印象を受けたのは、カレンチェンと長洲未来選手。この二人は戦える準備ができているように見えた。カレンについては、去年の全米、世界選手権で掴んだ自信をこの五輪シーズンの喧騒の中でも失くしはしない、と堂々とした態度を見せている。相変わらず謙虚な選手ではあるけど、成熟して落ち着いていてブレがない。長い間彼女を苦しめていた靴問題も、合うものをここ数ヶ月でスペアも合わせて確保し解決済み。選曲(ロクサーヌ、カルメン)も振付師に自分の意見をはっきり出して、強いキャラクターを演じようとしている。

 

アシュリーについて。「全米で優勝することではなくて、五輪メダリストになることが目標と。前回の経験を踏まえ滑った後にsense of reliefを持てるようにしたい」と。Lynnさんはこのアシュリーの発言を次のように解釈。4年前ソチ五輪の代表選出で叩かれ傷ついた経験から、あれを繰り返してはならない、来年のサンノゼ全米では、リンクを降りた時に「(優勝できないかもしれないが)やることはやった」と自分でそう思えるようにしようと思っている、そのためには全米優勝に集中するのではなく、グランプリシリーズ、ファイナルでも成績を残して、世界で戦えることを示したいのだ、と。アシュリーはラファと3−3を磨くのに余念がない。ジャンプの入りを凝ったものにしようとしてる。ヒップヒップチンチンは前のものと同じプログラムに見えないように工夫。スピンもカレンのものと比べて見劣りがしないように頑張る、と本人が言っているところが面白いと。シニアB大会には出ない。

 

未来は絶好調(tip top shape)でとても集中している。3AはCCでも跳べている。大きな試合に投入するかについては本人はそれを希望しているけれど、マスコミに煽られてやることはしないようだ。ジャンプはいい。表現面でもミス・サイゴンをジェフリーとさらに磨いていく。チャレンジャーシリーズに2回アサインしてもらいたいので、ソルトレイク大会でも頑張る!と言っているのが面白い。

 

ポリーナは大学生活が楽しいらしい。スケートの方はグレシャーフォールズ大会では確かにトリプルジャンプは入らなかったけれど気持ちは落ち着いていたらしく「ポリーナ自信」に満ちていた。

 

GGは今感じていること、モーチベーションを取り戻したいということを正直に話してくれた。ズエワもGGを助けようと頑張っている。ただ時間は厳しい。Lynnさん「彼女は世界のトップ選手だ。だが、正直言って、彼女が今何を求めているかわからなかった」。

 

次に男子。ネイサンの印象、なんでこの人こんなに落ち着いているのかしらと思った。たくさんの大企業がスポンサーについたり、CM撮影されたり、一躍注目が集まっているけれど全然動じない。「子供の頃はバレエとホッケー、大きくなったらスケートと他の趣味をやってた。それとおんなじことで、今はスポンサーがついて色々な経験をさせてもらって楽しいです」と答えてくれた。プレッシャーには無縁のよう。クワドに関してネイサンは「シーズン毎じゃなくて試合毎に皆進化していくね。このままみんなどこに行くのか落ち着き先はどこなのかわからない。いつかバランスをとらなきゃいけない時点があるんだろうけど身体がついていく限りはこのまま続けるよ」と。

面白いのは、男子選手は、他の選手(ボーヤン、昌磨など)が自分のジャンプを跳ぶ様子をSNSに掲載しているのを、それぞれが注目している、ということ。ネイサンも意識している。彼自身も他者を競争に引っ張り混んでいるということは自覚している。このような若い選手達はいわば”young gun”となって、皆んなをプッシュしている。五輪チャンプの羽生結弦をすら(まあ彼の場合はそういうのがなくてもやっただろうけど)4回転ループに取り組むように促してる。そうしたパーフェクト・ストームをネイサンが引っ張っている。それとお会いした素晴らしい日本のファンに指摘されたけど、宇野昌磨もそうして引っ張っている選手の一人だと思う。クワドの重要性はネイサンも含めたくさんの人が語っているけど、今季彼が目指すのは、アーチストの部分とアスリートであることの完全なパッケージ。ネイサンは選曲やプログラムの具体的については話そうとしないが、賢明なことだろう。ただSPに関しては昨年のバレエと違い今季はコンテンポラリー、FPに関してはよりニュアンス、TRを意識した洗練されたものにする、と本人も強調。彼曰く「パトリックなど、スケート技術があってコレオも優れた選手がクワドを跳んでいるじゃないですか。僕もできない理由はないですよね」と。

 

ジェイソンブラウンについて。昨シーズン途中で怪我をして復活、ワールドで頑張ってくれて3枠をとってきてくれた。4Tと4Sに関しては、昨年12月に怪我をした時点のところまで戻ってきているらしい。本人は試合に入れるつもりで毎日練習をしているそうだが、それ以上細かなことは彼は触れなかった。

 

アダムについて。怪我をしたのが左足なので、昨年成功した4Tは今の時点ではプログラムに入れておらず、4ルッツを入れているが、様子を見て4Tも投入。リアーナのDiamondsを自分の声で吹き込んでSPで滑るそうだが、報道によれば耳障りじゃなくてとてもいいらしい。ラファが「それは素晴らしいアイディアだ」と言ったのを知って、私は驚いている。アダム「(選考)基準が変わったとしても僕がやろうとすることは変わらないよ。GPシリーズに向けて良い練習ができているし、結果もついてくると思う。去年11月に骨折をしその後5ヶ月間回復に専念して僕は前より強くなった」と。実際アダムは夏にオレンジカウンティオープンに出て、夏の大会のスコアでは2番目に高いスコアを叩き出し、調子はいい。チャレンジャーシリーズ後半に参戦する予定。

 

ヴィンスについては「ゾーンに入ってきている」。デトロイトで披露したプログラムは目を見張るもので、4Tは完璧でなかったけれどフリップ、ルッツ、サルコーとここにも4種装備の選手がいる。ネイサンと同様、ギャンビル、ミーキンス、トムの彼のチームは、彼から成熟性をソフィスティケーションのレベルにまで引き出し、完璧なパッケージとなることを目指している。靴や水疱の問題も解決しつつあり、今季ヴィンセントはコロラドスプリングの環境で健康も管理できれば、「ワイルドカード」どころか、本格的な五輪候補であり、全米でもメダリストになれると予想する。(以上でシングル競技はおしまい)

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五輪代表を目指し、各選手がいろんなを思いを抱きながらシーズンインを待っているのだと思うと、どの選手も何も後悔のないように頑張って欲しいな、と思いますね。

 

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