Lynn Rutherford’s CC Article at icenetwork / CC報告記事

前回に引き続き、Lynn Rutherford記者によるicenetwork、CC報告記事の翻訳です。この記事では男子の五輪代表最有力候補ーーネイサン、ヴィンス、ジェイソン、アダム選手に絞って書かれています。

原文はこちらChamps Camp Chatter

 

(Translation)

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Champs Camp報告:ヴィンセント・ジョウ、新しいフリーへ。ネイサンは雑音をシャットアウト、リッポン10年目の節目へ

8/24/17 by Lynn Rutherford

 

ヴィンセント・ジョウが先週、Champions Campの米国フィギュアスケート協会のジャッジと役員の前で新プロを披露したとき、彼が心に留めていたのは4回転ジャンプだけではなかった。16歳の世界ジュニアチャンピオンは、シニア国際舞台デビューのシーズンで彼を成功に導いた、ライン、パフォーマンス、トランジションという一つ一つの要素を丁寧に滑った。

「4回転ジャンプは大きな得点源であるので、試合に投入し、しかも質の良いものを跳ぶことが非常に重要です」。一方で「キャラクターや動きを壊さず、時間をとらないように4回転をたくさん入れることは容易ではありません。4回転クレージーとは思われたくないので、このことは本当に重視しています」。

意欲に溢れた十代のヴィンセントは、サルコウ、ルッツ、フリップの3種類の4回転ジャンプをすでに試合で降りており、現在は4番目のトー・ループを完璧にするよう余念がない。このようなテクニカルな優位性もあって演技の細かい点を詰めていく余裕もあり、Charlie Whiteと5月にはフリースケートを振り付け、1996年の映画Romeo + Julietから楽曲を選んだ。しかしチャンプスキャンプ前に、カリフォルニア州リバーサイドに拠点を置くTammy Gambill、コロラドスプリングスに拠点を置くDrew Meekins、Tom Zakrajsekを含むコーチングチームは方向を変えることを決めた。

「新しいプログラムはムーラン・ルージュからのもので、ジェフリー・バトルに振付けてもらいました。とても素晴らしいです」、「今日でまだ2日目なので、今後どう変わっていくのかわかりませんが、すでにうまくいっているような気がします。もちろんまだやらなければならないことは山積みですが、今取り組んでいる最中です」と先週そう話してくれた。

ジョウは今年の春Whiteと一緒に過ごした時間を有意義なものと話している。

「今までやったことのない新しい動き、ジャンプパターンとタイミング、そして一つのプログラムの中に3つ以上の4回転ジャンプをどのように行うのかについて多くのことを学びました。素晴らしい経験でした」。

ミーキンスは「フリースケートでは、みずみずしいけれども決してジュニアの滑りにみえないものにすることを目指しました。そのため何かもっと魅力的なものはないか、探し出そうとした」と話す。

ムーランルージュの選択について話すとき、ジョウの顔はパッと明るくなる。「「Come What May」を最終的な作品として使用していますが、今まで誰もスケートに使用したことはないと思います。少なくとも、誰かがそれで滑っているのは見たことはありません」 「聴くと僕はぞくっとするんですが、観ている人も同じように感じてくれることを願っています」。

ジョウは7月のスケート・デトロイトでショート・プログラムで4回転ルッツと4回転フリップの両方を跳び、続いてフリーで4つの4回転ジャンプを跳び自信を得た。「4回転フリップを跳ぶ最初のシーズンなので、人に対していい印象を与えたいと思っていますが、最も重要なこととして、それをやることで自分自身にいい印象を持ちたいんです。スケートデトロイトでうまく降りることができて、自分自身嬉しい驚きでした」。

次の武器として4回転ジャンプトゥーループ習得を目標としている。

トムコーチによれば「4Tのテクニカルな部分を詰めています」とのこと。

「他の4回転ジャンプについては、できると自信があります。練習をやりすぎて疲労しすぎないように、ペース配分を心がけています」とヴィンセントが話してれた。

 

ネイサン・チェン、「雑音」シャットアウトして新シーズンに臨む

ジョウより18ヶ月年上のネイサン・チェンは、昨シーズン、優れたスケート技能と表現力に4種類の4回転ジャンプを組み合わせて、国内と4大陸のタイトルを獲得した。ネイサンは楽曲の選択について口が重い 。「滑るだけで、あえて『発表』のようなものはしないかもしれない」。それでもプログラムについて、さらに一段階上に登ったものという印象を受けた。

「昨シーズンのクラシックのショート(海賊)と比べると、今季のショートは非常にコンテンポラリーです」と18歳のチェン。 「昨年のプログラムでは僕がバレエの基礎を持っていることをお見せし、それは良かったと思います。今季はそれを進化させることができます」。 「パトリック・チャンはすべてのジャンプとスケートスキルの両方を兼ね備えていますよね。彼がそのようにできているのなら、僕だってやれば可能なんじゃないかなと思んです」。

それはネイサンが彼の武器に5種類目の4回転ジャンプ、ループを追加するのを待つことを意味するかもしれない。「そうなったら素晴らしいだろうし、まあそういったことも取り組むことはできるでしょうね」とチェン。 「今シーズンに実現するかもしれないですね。でも、それが優先事項としてメインではありません。主要な優先事項は一貫しています」。

チェンは、他のエリートの選手も助けているオリンピックトレーニングセンター(OTC)の理学療法士や、ラファエル・アルトゥーニアンコーチのおかげでシーズンに向けて準備が整っていることを付け加えた。また五輪有力選手として騒ぐメディアの嵐とスポンサーの要求にも頭を悩ませることはない。

「何が起きようとも、スケートに集中するようにしている」「ホッケーやバレエだろうと、これまで常にスケート以外の活動とバランスをとることができてきたので、必ずしも新しいものではありません。せっかくの機会ですし手放したくはありません。企業が僕を支えてくれて、これからの旅を僕と一緒に歩んでくれるんだと思うと嬉しいです」とチェンは語った。

 

ブラウンも諦めない

ジェイソン・ブラウンは、ジャンプを心配することなく、今夏当初の計画に沿って、スケートミルウォーキーとグレイシャー・フォールズ・サマー・クラシックに出場し、進化中のプログラムを披露した。ショートプログラム「ハミルトン」のThe Room Where Happensの歌詞から借用して、「ソーセージってそうやって作るもの(”how the sausage gets made”)」と状況を話してくれた。

7月中旬のスケートミルウォーキーについて、ブラウンは「出場するかどうか、本当に迷っていました。シングルジャンプでどうにかこうにかという状態でしたが、コリ[Ade]を信頼しており、その彼女が僕が新しいコンセプトに取り組んでいることを試合でとても見せたいと言うのです。自分のエゴと他人からの期待をひとまず脇に置いて、試合に参加しました。それでもシングルジャンプの状態で試合に臨むのはかつてない以上にナーバスになりましたね」。

ブラウンはブロードウェイ・ブロックバスター開演以来、 「ハミルトン」をフリーに使うことを構想していたが、これをショートに使用し、ローヒーン・ウォードが振り付け、プログラムに大変満足していると話した。「ミュージカル見ていない人でも理解して没頭できると思う」「たんなる超高速ラップにとどまらない曲だから、歌詞が何を言っているのか理解しようしなくていい。 …アーロン・バールとアレクサンダー・ハミルトンというキャラクターに惹き込まれるし、アメリカ建国の精神をも表現している。僕もそのことにワクワクしている」。

右腓骨疲労骨折で苦しみながら世界選手権を7位でフィニッシュした米国の銅メダリストは、オリンピックのシーズンはいい形で入れると言う。「4回転ジャンプ(トゥループとサルコー)は戻ってきていて、調子はいいし準備はできています。僕は取らぬ狸の皮算用をしたり、無駄に興奮することはしません。僕は何年も前から、どんな状況でも仕事をきちんとできる人間であることを実証していると思います。世界選手権に出場すれば両大会でも3枠を持って帰ってきました。団体戦でもいい成績を残せています。時にはうまくいかないこともありましたが、それらは例外的であり、全体として、スコアに関しても非常に安定していることを証明してきています」。

 

10年目の節目となるリッポンの戦い

アダムリッポンは今年グランプリシリーズ参戦10年目となるが、新しく履歴書に「歌手」を付け加えることになった。ベンジー・シュヴィマーとバトルの共同振付けで、リアーナの「ダイヤモンド」をショートに選んだ。「他に誰もしていないことをやりたかったので、ベンジーに持ち込みました。ベンジーからプロデューサーのBrady Kerrを紹介してもらったのはとても運が良かった」「Brady Kerrは最高に素敵な人で、自分も本当にやりやすかった」、
「(このプログラムによって)僕がスケートしているだけではなく、全身全霊をを込めて演技をしていることをわかってもらえると思います」と彼は付け加えた。

今月初めにオレンジカウンティオープンチャンピオンシップに出場した2016年の米国チャンピオンは、骨折のため2016年から17年のシーズン後半途中退場を余儀なくされた。「トレーニングは本当に上手くいっているし、その成果がグランプリに現れると思う。今年はNHKトロフィーの11月中旬までに少し時間があるし、その時間を有効に使うつもりです。昨シーズンは骨折して4〜5ヶ月間試合に休息を余儀なくされたけど、足を折る前よりもずっと強くなって戻ってきました」。リッポンは昨シーズン、4回転トゥを成功させたが、過去のシーズンのプログラムでの投入していた4回転ルッツに焦点を戻した。 「左足を骨折したために、今はもう一度4回転ルッツをやっています」「そのうち足が良くなれば、両方を行うことが目標です。ルッツはうまくいっているし、いい状況ですね」と語ってくれた。

(終わり)

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当ブログは最初ブログ名を Team Rafa!としており、ラファエルアルトニアンコーチが率いるチーム全員を応援しようとしていました。それくらい、アダムやアシュリーに思い入れがあります。ネイサンやヴィンスの若い二人に今注目が集まっていますが、アダムやジェイソンもこの記事から伺えるように、人間的にもスケーターとしても成熟した素敵な選手です。どんな結果になるのかわからないけど、来年サンノゼ大会の終わりは切ないだろうな、と今からきゅんとします。でも五輪代表にならないかも、と今から心配するのは彼らにも失礼。明るい彼らの努力を尊敬し信頼しながら、楽しみに待ちます。

最後にアダム・リッポンのDestination PyeonChangキャンペーンの募金の呼びかけ。選手や選手の家族の平昌五輪渡航のサポートが目的ですが、募金をするとこのかっこいいTシャツがもらえるそうです。
アダムの笑顔が眩しくて。頑張って!

 

 

2件のコメント

  1. こんばんは。
    お忙しいのに翻訳ありがとうございます!
    アメリカの選手はそれぞれとっても個性的で見ていて楽しいですね!
    最近リッポンの新SPも見ましたが歌を自分で歌っていてしかもすごくうまい!!
    ネイサンのFSも気になるところ。ヴィンスはFS変更とのことですが
    ムーランルージュ、とっても楽しみです。五輪シーズンの全米…考えただけでも
    激戦で怖そうですね。(見たいけど…)

  2. エキセントリック様、コメントありがとうございます。

    ネイサン、7月のDOIまでには教えてくれるかなあ、と思ったらとんでもなく焦らしてくれています。
    これからも遊びに来てくださいね!アメリカ選手の情報はここですよ!(笑)

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