2019年スケートアメリカ優勝後、メリルデイビスインタビュー

 

新しいシーズンが本格的に始まりました!

先週ラスベガスで開催されたスケートアメリカ大会で、ネイサンは順当に優勝しました。

すでにたくさんの方が翻訳をされているかと思いますが今日はメリル・ディビスによるスケアメ後のネイサン インタビューの翻訳をアップさせてください。

 

 

フルの動画はこちらです

 

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メリル:ネイサン、スケートアメリカ優勝おめでとう。スケートアメリカ優勝、現世界・全米チャンピオン。それに加え長く「クワドキング」と呼ばれていますが、こう呼ばれることについてどのように受け入れていますか。

ネイサン:「クワドキング」といえばティム・ゲーブルでしょう。彼から自分がその名称をいただくなんてことは厳密に言って正しくないと思います。それからクワドをプログラムの中に取り込み始めたのは僕だけではありません。ボーヤン、ショーマ、ユズ、そうしたアメージングな選手がクワドを投入し始め、じゃあ自分もやらなくてはと次々と跳び始め、雪だるま式に大きなうねりとなっているのが今の状態。ですから「クワドキング」と呼ぶべき選手がいるとしたら、ティム・ゲーブルではないでしょうか。あるいは、集団としてクワドの限界に挑み続けている僕たち全員のことを指すと思います。

メリル:あなたはいつもこんな風に品格のあるアスリートなのよね。クワドや氷上のスキル以外で、どんな影響をフィギュアスケートに遺したいと思いますか。

ネイサン:現役男子選手のうち、上位10の選手たち、いや実際は選手全員について僕が気づいていることなのですが、僕らの競争は激しい。その一方でいままでそれぞれ選手ひとりひとりがどれだけこのスポーツに打ち込んでいるか、ひたむきであるか、捧げているか、これからもそうであるかをみな理解しています。このようなお互いへのリスペクトがあるからこそ、僕らはみな純粋にフレンドリーであり、単にスケーターであることを超えて、相手がどんな様子かを思い遣っています。僕がもう少し幼かった頃には、必ずしもそうした傾向ではなかったのではないでしょうか。明らかに今の選手たちは、お互い親切であろう、良きライバル、スポーツマンであろうと努力していると感じています。この傾向を僕はとてもよいと思っているし、今後も展開していけばいいなと思います。たしかに1つの試合に勝者は1人しかいないけれど、誰もが勝つチャンスはあるし、負けるチャンスもある。つまり皆そうした同じ状況の中で努力をしていると悟っているんです。

メリル:テクニカルの部分のほかに、表現面について、あなたが個人どのようなアプローチをとるつもりですか。さらにフィギュアスケート界全体での方向性をどのように解釈していますか。

ネイサン:ジェイソンが今表彰台に上ったのをみて、素晴しいと思った。ジェイソンがクワドを跳んでいないのは明らかで、今大会にも試合には入れていない。ただ彼はクワドを跳べるし、跳んでいるのを見たことがある。試合には入れなかったけれど、よい演技をしてメダルを獲得した。テクニカル面だけではない、さまざまな側面がスケートにあるのを知れて素晴らしい。僕はたまたまテクニカル面での才能があって、正しい指導法、チームに恵まれて今のジャンプが跳べている。ただ今後ジャンプをクリーンにしたり、その他細かい改善の余地はあるだろう。ただ、テクニカル部分を超えて、自分がもぎ取れるポイントがたくさんあるんだと、ジェイソンを偉大なお手本として教えてくれている。さらに今のジャッジシステムもプログラムのなかでいろんなオプションを可能にしていると思う。それを最大限に僕は活用したい。

メリル:クワドをマスターした今、5回転についてはどうですか。

ネイサン:うーん、物理的に可能なのでしょうかね。5回転が成功するにはテクニックを変えないといけませんね。トゥのエントランスだとか、なんらかによって滞空時間を最大化するとか、回転速度を最大化するとかです。人類としてそうしたことを実現できたら素晴らしいことですよね。誰かほかの選手ができるのならきっと僕もできるのだろうけど、誰もできないとしたら、僕がそれをできる選手になれるのかどうかはわかりません。

メリル:フリーの前は落ち着いて見えましたね。試合前のプレッシャーにどう対応するのかしら。

ネイサン:スケートは僕にとってとても重要なものではあることは間違いありません。ただ、とてつもないプレッシャーのかかる状況にあっては「いや、そんな大したことじゃないって。今日っていう一日は人生の中のほんの一日にしか過ぎない」と思って対処しています。これから自分がやろうとしていることは、うまくいくかもしれないし、失敗するかもしれない、だけど、最終的にはどんな結果であってもそれはそれで受け留める。もちろん平昌五輪の結果に満足はしてはいません。ですが僕はミスをする。実際大きな場面でミスをした。これからもミスをし続けるだろう。でもそこからまた成長できる限りミスをしてもいいんだ、そう僕は受け留め、こうした気持ちの持ちようで、試合でも理性的でいられるようになっていますし、上手く滑れるようになりましたし、練習もうまくいくようになったと思う。ミスをしても、いわゆる「失敗」をしたとしても、それはそれでそこから何かを学ぶものはある。こうした気持ちの持ちかたがトレーニングに活き、ここ数年自分のスケートがよくなったと思います。

メリル:若くしてすでにたくさんのことを成し遂げたけど、今シーズンの目標を教えてください。また、北京五輪について教えてください。

ネイサン:まずは、スケートアメリカの経験をもとに練習を続けますが、一試合一試合を大事にシーズンを過ごすアプローチをとりたいですね。仮にオリンピックや世界選手権などあまり先のことを考え始めたら、圧倒されてしまう。もちろん五輪王者になることは、ほとんどのアスリートが目指している目標であり、僕も本当になりたい。そうなることは僕にとっては一部は現実的であり、まだ一部は幻想なんだろう。その目的達成にベストなポジションに自分を置くには、正しいステップを踏む必要がある。とはいえ最終的に僕が五輪王者になれるかについては、僕のコントロールの及ばない沢山の変数が存在している。だから今の時点では、そのポジションにたどり着くまで集中して物事を一つずつ処理していきたい。五輪に行けるならば、あらゆる努力を尽くしてそのステージに立つことができるのならば、どんな結果になろうとも、僕はとても満足するでしょう。

メリル:ネイサンお忙しいなかどうもありがとう。世界中のたくさんのファンがあなたを応援しています。幸運を祈っています。

ネイサン:お招きありがとうございました。

 

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以上ざっとした和約ですが、雰囲気伝わりましたでしょうか。ぜひ、フルの動画を見て下さいね。

ネイサンの聡明さはずっと昔からですが、久々に訳してみて、この1、2年でますます大人になったなあと思いました。王者としての風格が備わってきた一方で、言葉が瑞々しいですね。実ほど頭を垂れる稲穂かな、って諺も浮かんできます。まさにメリルがいうところClassy、品格がありますね。

スケアメ観戦の報告は後日またお伝えします。

長い間更新をしていなくてすみません。SNSが全盛の中、こうしてブログで綴ることにどんな意味があるのだろう、

自分ができる応援てなんだろう、と考えていたりでつい時間が沢山経ってしまいました。やはりネイサン の言葉を伝えるってことに尽きるんじゃないかなあと思いつつ、今シーズン、ゆったりと更新をしようと思っています。よろしくお願いします。

 

4件のコメント

  1. お久しぶりです!
    お忙しい中、翻訳ありがとうございます。
    SNS全盛ですが長文になるとやはりブログが読みやすいし
    ずっと残せるという利点があると思います。
    ネイサンは早口なので全然聞き取れないのでこうして翻訳していただくのは
    ありがたいです!
    ワタシはまったりしてる雰囲気のほうが落ち着くの(笑)
    のんびり更新お待ちしていますね

    1. エキセントリックさん、リプありがたいです。
      エキセントリックさんは、ブログずっと続けていらっしゃいますよね。尊敬でございます。そういえばソチオリンピック前から(笑)のお付き合い、いろんなことがありましたよね。たしかにずっと残せるという利点はありますね。この1年間、気になる記事はありながらTwitterでは要約ベースでぽちぽち載せていたんですが、やはり辿りづらいです。
      その時どんな気持ちだったのかなあ、なんて振り返ることもできますしね。
      ところで私は2回真央ちゃんのサンクス・ツアーに行って来ましたよ。ソチオリンピック前後からの私からは想像もできないでしょ。でも本当に感動しました。
      選手の頃の真央ちゃんと今の真央ちゃん、ご本人の本質は全く変わらないんだろうけど、今の真央ちゃんのほうが私は理解ができます。こういういう風に人の気持ちって変わるんですよね。

  2. 翻訳ありがとうございます。
    ネイサンの人柄の伝わる良いインタビューですね。
    お互いがリスペクトし合っているライバルたちとの関係は、本当に素晴らしいもので、いつまでもそのような関係が、世代を超えて続いて欲しいです。

    1. ピーチクさん、初めまして!コメントどうもありがとうございます。
      私もこのインタビュー動画を見て、改めてネイサン という人間のおおらかさがわかりました。
      日本のTHE ICE他ショーでも楽しそうで、純粋に仲がいいんだなあと感じましたね。

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